2005年05月22日

論点をいくつか

 「自衛隊の存在」を認めない立場からの主張として、レベルの違うものを二つ記しておこう。これら二つの主張は、自衛隊の存在を認めない(自衛隊は廃止すべき)という点では一致しているのだが、その理由・背景が異なる。

I. 【どんな戦争も認められないので自衛隊を廃止した方がよいという主張】
 どんなことがあろうと、「戦争」をすること自体がダメ、という主張である。自分や家族や友人が殺されようが、他の国で虐殺が起ころうが、あるいは自国民が自国領内で拉致されようが、とにかく「戦争」をすることを認めない、という主張である。この主張をする人は少ないと思う。
 「もし日本が攻撃されたらどうするの?」という問いに対しての答えは「潔く死ぬ」である。

II. 【自衛隊保持よりも自衛隊廃止の方が戦争に対する抑止力として有効であるという主張】
 戦争はできれば避けたい。そして、戦争を避ける手段として「自衛隊廃止」が最も有効であるという主張である。
 「もし日本が攻撃されたらどうするの?」という問いに対しての答えは、「攻撃されるはずが無い」である。ただ、100%完璧な抑止力とはならないので、いざとなったら潔く死ぬ方が反撃して相手を殺すよりマシ、と主張する場合は、「I」の主張と両立し得る。
 つまり、自衛隊廃止による戦争抑止力が100%有効であると考えるか否かで、「II」の主張の背景はさらに二つに分かれる。

*なお、自衛隊廃止は抑止力として100%有効でないと考えるものの自衛隊保持よりは有効であると考える人の中で、いざというときは反撃すべし、という人は、「もし日本が攻撃されたらどうするの?」という問いに対して答えられないので、結局抑止力としては比較的有効でないと考えながらも、自衛隊保持を主張することになる。(ただし、自衛隊は廃止するが日米安保は保持してアメリカに守ってもらう、という主張も考えられる。)

 以上を踏まえると、「戦争抑止力として有効なのはどんな手段か」ということを考える必要がありそうだ。下記のどちらが戦争抑止力として有効なのだろうか?要検討。
  • 全ての戦力を廃棄することで、相手を刺激しないこと
  • 自衛のための戦力を保持することで、相手に攻撃を思いとどまらせること
 なお、後者は、自衛隊だけでなく、日米安保条約および米国の核兵器装備も含む。自衛隊は廃止するが日米安保は保持してアメリカに守ってもらおう、という主張は後者に含まれる。

 ・・・どうも整理できたようで整理できていない気がする。考えるべきことは山積みである。
posted by しろ at 01:03| Comment(2) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
軍隊は50%の確率で侵略者になりますから,「攻めたらどうするか」というリスクも,同じウェイトで心配しなければいけません.
http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/Education/invasion.htm
TBもご覧下さい.
Posted by yamamoto at 2005年10月02日 13:23
yamamotoさん、コメントありがとうございます。

リンク先のページを拝見いたしましたが、
確率50%の計算の前提は、ちょっと辛いですね。n→∞で全ての国がどの瞬間にも必ず戦争を仕掛け続けることになります・・・。少なくとも、pを定数とするのでなく、陽に(何らかの)関数にすべきだと思います。何らかの・・・何でしょうね。人口?政治体制?もっと単純に軍事力?当然絶対値ではなく他国との比で判断すべきですよね。そうするとnと独立ではありえない気がします・・・。(n=1だと、n=2の場合に比べて、直感的に強い方はすごく戦争仕掛けそうな気がしませんか?)

TB先については、私としては「軍事力以外の手段で安全を確保する方法はあるはずです」という主張が心に残りました。
世に住む全ての人々が納得できる方法があれば、軍事力は必要ないと思います。たとえ実際に安全を確保できなくとも、納得できさえすればいいのではないかと思います。
Posted by しろ at 2005年10月17日 17:54
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/3804253

この記事へのトラックバック

九条原理主義の擁護--伊藤真著「高校生からわかる日本国憲法の論点」
Excerpt: 花のニッパチさんの記事で紹介されていた,「司法試験界のカリスマ塾長」伊藤真氏の「高校生からわかる日本国憲法の論点」をアマゾンから購入しました.なんと地元の巨大ショッピングモールにあるメガサイズの紀伊國..
Weblog: ペガサス・ブログ版
Tracked: 2005-10-02 13:14
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。